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 派遣法第2条第4条



いわゆる派遣法。正式名称はとても長くて、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び私らしさを探す旅とタマの徒然日記」だったかなあ‥‥忘れた。
警備業の根っこに関わるもので、現任教育などで触れることもしばしばあるかと思いますが、ここにその内容をご紹介します。
以下に条文を。大事なところを後で挙げるので、読まずにスルーで結構ですよ。

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第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 労働者派遣 自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。

(略)

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第四条 何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行つてはならない。
一 港湾運送業務(港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)第二条第二号に規定する港湾運送の業務及び同条第一号に規定する港湾以外の港湾において行われる当該業務に相当する業務として政令で定める業務をいう。)
二 建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)

三 警備業法(昭和四十七年法律第百十七号)第二条第一項各号に掲げる業務(隼人注:これはつまり警備業務のことです)
その他その業務の実施の適正を確保するためには業として行う労働者派遣(次節並びに第二十三条第二項、第四項及び第五項において単に「労働者派遣」という。)により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務
2 厚生労働大臣は、前項第三号の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。
3 
労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その指揮命令の下に当該労働者派遣に係る派遣労働者を第一項各号のいずれかに該当する業務に従事させてはならない。

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まず知っておいて貰いたいのは、この法律でいう派遣事業とは何かということ。
第2条を参照。派遣事業とは、仕事場に配置された者が「取引先(およびそれに準ずる者か?)」の指示を受けて動く形です。工事現場につく交通誘導警備員なら、現場監督(または監督からある程度任されている作業員も含まれるか)等の指示で動く形がほぼイコール派遣の形となります。

派遣事業を行うには厚生労働省の許可が必要です。
警備会社が派遣事業の許可を取っていない場合、どんなにお客さんに喜ばれたくても「現場監督の言うことを聞いて動きなさい」などとは言えませんよね。派遣の形になってしまう。

では、警備会社が派遣事業の許可を取っていたらどうでしょう。
これについては第4条の青文字部分2つを見て下さい。
派遣事業者は、そのスタッフを「警備業務をさせる現場」に送り込んではならないと書かれています。

つまり、どうあれ警備が派遣の形をしていることは禁じられているのです。
えっ?と驚く人もいるかも知れませんが、私も最初は驚きました。現場監督などに「警備員さん、あっちに立って」などと言われて「はい!」なんて従うと所属する警備会社の法律違反となりかねない。
まあ会社がそうさせる意思を持っていたかどうかにもよるのかも知れませんが。

一方で、紫文字部分。ややこしい話になりますがここも見ておきましょう。
ここまでは自社スタッフを他社の仕事場に送り込む側の話をしました。ここからは他社スタッフを送り込まれる側の話です。
よく読んで下さいね。 
紫文字部分には、派遣業者を使う者はそのスタッフに警備業務をさせてはならない、とは書かれています。しかし警備業者を使う場合の制限は書かれていない。警備会社の警備員を現場で指揮してはダメという主張はないのです。
あれっ?と思いますね。
我々は現場監督の指示に従ってはいけないのに、監督は指示していいの?と。現場隊員としてそれはツライ。
これに関しては、職業安定法第44条にいわゆる偽装請負(派遣契約でなく請負契約でありながら現場の取引先が指揮命令をする)の禁止が述べられているようです。ただし安全上緊急の場合を除くようで、警備という業務の性質を考えると悩ましい部分もあります。現場監督などから「あっちが危ないから見てて」などと指示されて、果たしてそれは本当にこっちより危ないのか、緊急なのか、なんて。
そもそもでこの辺の法を知らずに無邪気に指示して来る監督さんもいたり。

何はともあれ、現場監督に「警備員さんそうじゃなくてこうしてよ」なんてもし言われたら、「それ違法だよ黙っててくれ・・・なんて言えないわなあ。」と皆さん思いますよね。
そして、実は2号の交通誘導警備は色々指示を受けやすいという性質が現状あります(この点については別記事にしたいのですが、一部公の場で書きにくい点もありなかなか)。
現場レベルに丸投げでなく会社同士で話し合う場がないと難しいところでしょう。




現任教育で私はこう話すことにしています。
「あなた達が、あなた達の看板である警備の仕事で一度認められてみなさい。大半の監督はあなたに指示をしなくなるし、あなたの意見に興味深く耳を貸しますよ。」
もちろん100%ではないですけども。
難しい現場ほど、我々のプロっぷりを見せることが出来てスムーズですよね。

派遣法を利用した意識教育とでもいうのかな。

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1つの現場に複数の警備会社がつく「コラボ」については今回は述べません。かなり長くなりそうで(^^)

さてこれから夜勤!


(過去のブログより転載・修正)


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